講師 大西(石塚)明子氏 (S44文国) 2022年4月28日(木) 13:30~15:00 於:ウィズあかし703学習室
2年ぶりに楪の会の行事を再開しました。
今年度から明石駅近くのウィズあかしを講座の会場としました。参加者は講師を含め18名でした。
お話の概要を記します。
1 『神戸モダンの女』が生まれるまで
講師の大西明子さんは1969年大学卒業後に兵庫県の公立高校に教諭として勤務。
2007年に定年退職。
2010年に大阪文学学校入学。小説を書き始めたのは2012年から。
2018年に本書で文芸社主催・毎日新聞社後援の「人生十人十色大賞」文芸社特別賞を受賞。
2019年8月編集工房ノアから出版。
『神戸モダンの女』のモデルは、1916年(大正5年)生まれの義母。30年同居した義母は、合理的精神の持ち主で料理・裁縫 をはじめ家事が得意だった。義母が亡くなった後に、もっと丁寧に話を聞いておけばよかったという思いから、夫・義姉・義妹に聞き取りを重ねて小説化した。
2 『神戸モダンの女』の各章
(一) セーラー服
(二) 白い襟の制服
(三) イヴニングドレス
(四) 男仕立てのスーツ
(五) 大島紬ともんぺ
(六) ミシンを踏んで
(装いに焦点を当てた)
3 主人公が生きた時代
大正の初めに生まれた主人公は、開放的な気風の神戸で育った。ハイカラ好きの父の影響で、小学校では洋装が珍しい時代にセーラー服で通い、女学校はミッションスクールに進んだ。女学校では、英語や料理、裁縫、社交ダンス等の英国風の 教育を受け、それが後に生きる。
卒業後は会社勤めをしたものの、ダンスで身を立てるようになる。
その後、結婚・出産したが、日本は戦中戦後の激動の時代へ。夫は戦時中、単身満州に渡り、戦後は事業を起こしては失敗するを繰り返した。主人公は、靴工場に勤め、後にミシンの内職を経て注文服を縫って生計を支えた。
当時は、女は家に縛られ家の中で生きる時代だった。しかし、小説の中の男(夫)は命令はしないが自己中心的だったので、妻である主人公は自立して生きなければならなかった。
参加者からは大正・昭和初期のハイカラな生活に驚いたという感想がありました。また、奈良女の体育の授業で社交ダンスを習った思い出話に盛り上がったのは、佐保会の催しならではです。
大西さんのお話から、強い意志で自立して生きたお義母様への敬愛の念を感じました。